2009年12月16日 (水)

「Twitter社会論」

やっと読了。

こういうのを社会論と言うのかどうか分からないけれど、Twitterがこれからのメディアや社会にどんなインパクトを与えていくのかと言うことについての著者の意見が書かれている。

私的にはそのどれもが、「まあそういうこともあるかも知れないが本当にそうかなのかな」と言う、なんとなくぼやけた感想なのだ。はたと膝を打ったり、目から鱗が落ちたりと言う、そういう感じじゃない。

それは何故かと考えたら、多分Twitterと言うものが、一体何なのかが私自身まだ良く感じ取れていないからではないかと思った。

私がTwitter始めてから3ヶ月経つが、「すごく刺激的で面白い!」と言うことは事実なのだが、一方で「いったいこれは何なのか?」と言う感じを未だに持ち続けている感じがする。その巨大な捕らえようもなさが、すごい可能性を秘めている予感につながるような気は、漠然とするのだけれど・・・。

ただ、この本でTwitterと言うものをさすがうまく表現しているなあと思った部分が、筆者と勝間和代さんの対談の中にあった。

勝間-ツイッターって、本来だったら空気の中に消えちゃうはずの想いや会話を文字化してアーカイブしてくれるサービスなんですよ。
津田-行き場のない言葉や思いを「供養」するメディアとも言えますね。(笑)

うんうん、確かにそんな感じなのだ。ツイッターって。

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2009年9月12日 (土)

「ウェブはバカと暇人のもの」

刺激的なタイトルで思わず手にとってしまった本だが、なかなか的を射ていて面白かった。

ニュースサイトの編集者と言う立場で、ネット上の一般大衆に現場で日々対峙する著者は、「ウェブ進化論」を書いた梅田望夫を引き合いに出し、

梅田氏の話は「頭の良い人」にまつわる話であり、私は本書で「普通の人」「バカ」にまつわる話をする。

と冒頭に書いている。私は梅田氏の「ウェブ進化論」は素晴らしいと思ったが、この著者もそれは認めた上で、しかし実はネットの住人の多くはそういう前向きな人々ではないと言っている。確かに事実だろう。

「ネットで流行るのは結局TVネタ」と言うのはなるほどと思ったが、私はほとんどTVを見ないし、従ってこのブログにもTVネタを書いたことは全くと言って良いほどない。と言うことは、毎日書いているアクティブブロガーのはしくれではあっても、私はかなりネットの過疎地に住んでいると言うことだろうなと思った。多分、幸いなことに・・・。

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2009年8月19日 (水)

円周率の果てに

リンク:筑波大スパコンが円周率計算で世界新記録 – スラッシュドット・ジャパン

「2 兆 5769 億 8037 万けた」とは天文学的過ぎる桁数で到底想像が追いつく領域ではないのだが、この話を聞いて、あのカール・セーガンの名作
「コンタクト」の衝撃のラストを思い浮かべる人は結構いるのではなかろうか。(ただし小説のみ。映画ではこのラストのオチは描かれていない。)

あーこれ以上書きたいが、完璧にネタバレの領域なのでインターネット上では書けない。

つまりは、科学が神を見つけたとしたら、どのような形でそれは現れるだろうか?と言うことを、彼なりに描いて見せたのだ。

あー書きたい。でも書けないので今日はこれで終わる。

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2009年8月 1日 (土)

「コンタクト」

休日にふと見たくなって蔵書DVDの中から久しぶりに見てみたシリーズ。

カール・セーガン博士の原作での壮大なラストは再現されていないものの、原作の精神を余すところ無く、それを映画的な表現で描ききった手腕はさすがのロバート・ゼメキス。

科学者として、証拠のないものは信じないと言う主人公のエリーの恋人が、若い宗教家。

彼は、存在する証拠がない神は信じないと言う彼女にこう聞く。

image

「お父さんを愛していた?」

「ええ、とっても。心からね」

「その証拠は?」

「え?・・・」

これはこの映画の中でも私が一番好きなシーンだ。

かくして彼女は、科学者として異星人から送られた設計図に基づいて建造された「マシン」に乗り込んで、単身宇宙に行き、異星人に会って戻ってくる。

しかし、戻ってきた彼女の貴重な体験を証明する証拠を、異星人は何一つ残してくれなかった。

彼女は主張する。「証拠はない。しかし全身全霊で自分はこれを体験してきた」と。

皮肉なことに、その言い方は、若い宗教家が神に会ったと言う体験を彼女に語った状況と何一つ変わっていなかったのだ。

と言う話。

この話は異星人遭遇もののSFと言う形を借りながら、そのテーマは科学と宗教の話である。

原作者カール・セーガンは、NASAで宇宙開発の立役者として活躍した科学者である。その一方この「コンタクト」の原作を読むと分かるように、この人は宗教界とも密接に交わり、その方面の造詣も深かった。

「コンタクト」の原作では、映画では描かれなかった衝撃のラストがある。エリーはついに自分の信じる科学の方法で、自分の体験を証明するのだ。

カール・セーガンはこう言いたかったのだと思う。

「神はいるだろう。いるのなら、何故皆が分かる方法で堂々と出てこないのか? それならば私が私の方法であなたに会いに行きますよ!」と。

今、天国で彼は神とどういう対話をしているのだろうか。

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2009年5月30日 (土)

「乗る前に読む旅客機入門」

羽田空港にあって飛行機関係の図書が多い本屋、ブックスフジでまたこんな本を買ってしまった。

月刊エアラインなどで良く名前を目にする航空写真家阿施光南氏の著であるが、豊富な知識の中から、旅客機のかなり専門的なことまで、しかし一般の人が読むのに決して難しくならない限度をわきまえて、ユーモアを交えながら書かれているので、面白く読めた。

その中にこんな一文があった。

どうして離着陸時だけが駄目で上空では使えるようになる電子機器(たとえばビデオカメラやデジタルカメラ、パソコンなど)があるのかというと、これは上空では影響がなくなるからではなく、万が一影響が出ても対処する時間的な余裕があるからである。航空会社にしてみれば、できれば全面禁止にしたいところだろうけど。

私も、何故巡航中だと影響を受けなくなるのか疑問だったのだが、そういう訳だったのか。

ところで、私はいつも携帯電話は鞄の中に入れているのだが、飛行機に乗っている間は身体に身につけるようにしている。もちろん電源は切ってなのだが、どんな事態があるか分からないが何かもしあったときに、通信手段であり情報を入手出来る手段である携帯は、上の棚にあるより、身につけておいた方が良い気がするからである。

そういえば以前に函館空港でハイジャック犯が機内にたてこもる事件があった時、トイレの中から携帯で警察と連絡を取っていた乗客がいた。

そういうこともあるかも知れない。

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2009年3月 3日 (火)

「時尼に関する覚え書」

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 のストーリーを初めて聞いた時、この話は、「時尼に関する覚え書」のパクリではないかと思った。

梶尾真治と言う日本のSF作家の短編である。時間軸が違う世界に生きている二人の恋愛の話で、男と女は片方が歳を取れば片方は若くなると言う設定は「ベンジャミン」と同じである。

ただ、「ベンジャミン」の設定は年寄りで生まれて赤ん坊で死ぬように逆に変化する、一種の肉体の病気と言うか奇形であることに対して、「時尼」の方は、二人が生きている時間軸が違うと言う設定なのだ。

つまり、男にとっての未来は、女にとっての過去であり、女にとっての未来は男にとっての過去である、と言う二人の関係が描かれている。

だから、今は二人が恋愛の真っ直中でも、1年後に再会したときには、相手はまだ自分のことを知らないと言う状態になるのだ。そういう状況の中での二人の愛の未来、即ちそれは過去は? と言う話し。

「時尼に関する覚え書」は、とてもロマンチックな作品であると同時に、「ベンジャミン」よりSF的な設定が冴える作品で、大好きである。

最初にこの作品が収録されていた短編集は今は絶版で、下記の傑作集に収録されているようだ。

美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)
美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA) 梶尾 真治

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starなるべくお若いうちに読んでください。
starカジシンの最高傑作!!
star美しく優しく誠実な愛に満ちた永遠の女性

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2008年11月 6日 (木)

マイケル・クライトン死去

リンク:CNN.co.jp:M・クライトン死去、66歳 ジュラシック・パーク原作者

医学博士でもあるこの人の作品は、科学・技術・経済・政治と言った現代的なあらゆる要素を上手くバランス良く盛り込んで、読む者をグイグイと引き込んだら、息をもつかせぬ展開で、ハラハラドキドキのエンタテイメント世界に遊ばせてくれた。

出世作の「アンドロメダ病原体」は、未知の病原体で死ななかったのがアル中患者と赤ん坊だけだったと言うことから、病原体の弱点を探ると言う話だった。

ヒントは血液のpHと言う話なのだが、そこに至るまでの推理とサスペンスがこの人の持ち味だ。

私が好きな作品は、「エアフレーム」。

とある飛行機事故について、主人公がその事故原因を突き止めるまでの過程が描かれた推理作品だが、航空業界の経済的事情や飛行機の技術的なことを上手く盛り込んで、ラストで明かされるまさかの事故原因まで。ストーリーの盛り上げ方が素晴らしかった。

若すぎる死である。これからもっと骨のある楽しい作品を読ませてもらいたかった。

エアフレーム―機体〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
エアフレーム―機体〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) Michael Crichton 酒井 昭伸

おすすめ平均
stars読みやすい
stars期待外れの、爽快さ
stars航空機事故をめぐる推理小説
starsちょっと変わった趣向。
starsつい信じたくなるテレビの報道

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2008年10月24日 (金)

「星を継ぐもの」

月面の洞窟の中から、死体が発見される。

それはどう見ても人間の死体なのだが、なんとそれは5万年前に死んでいたのだ。

死体の携行品から彼は高度な技術文明に生きていたことが分かる。彼が地球人であるならば、過去の文明の痕跡が地球上に残っていないのは何故か?

もし彼が地球人でないならば、生物学上どう見ても地球人と同一なのは何故か?

本当に久しぶりで、既に黄ばんだこの文庫本をふと本棚から手に取った。

もう何度も読んでいてその結末も知っているのに、

「いったい何が始まるんだろう?」
「いったいこの先どうなるんだろう?」

と言う、ワクワクドキドキ感が何度読んでも失われない。
楽しくて思わずニヤリとしてしまう。

私にとっては、SFとはそういうものであって、そういう話が大好きなのだ。

この小説は時代を越えた大傑作であると、改めて思った。

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おすすめ平均 star
starSFミステリの傑作
star創造力を求められる作品
star願!映画化!

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2008年10月10日 (金)

「横浜タイムトリップガイド」

本屋で平積みになっていたのを一瞬で買った。

開港以来の横浜各地の歴史を写真とエピソードで綴った本だ。

横浜に住んで40年。写真を撮り始めたことも間違いなく関係しているが、最近この街がどうしようもなく好きになってきている。好きな街の歴史を知るのは楽しい。

とは言っても、既に色々な本で読んでかなりのことは知ってきているのだが。

例えば高島嘉右衛門と言う人物をご存じだろうか?

まだフロンティア時代の横浜で、文明開化の波に乗って一代の財をなした天才実業家であり、「横浜を作った男」と言われている大人物だ。

以下本書からの引用。

やがて事業は公共性を高めていきます。京浜間の鉄道建設では沿線の埋め立てを請け負い、横浜駅近くに「高島町」の名を残します。彼はここに遊郭を誘致することにまで成功しているのです。さらに高島学校の創立、横浜-函館間の定期航路開設、ガス工場の建設とガス灯の設置、横浜共同電灯会社の設立。最終的にガス事業は東京ガスに、電気事業は東京電力に引き継がれました。
明治9年(1876)、嘉右衛門は実業界から一時引退します。若いころから占いを身につけていたので、易学の普及に努め、その集大成として「高島易断」を著しました。後世に残したものとしてはこちらの方が大きかったでしょうか。

横浜タイムトリップ・ガイド
横浜タイムトリップ・ガイド 横浜タイムトリップ・ガイド制作委員会 (著・編)

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今探訪してみたいと思っているのは、終戦後に進駐軍が残していった遺構だ。大桟橋のように陽のあたる場所だけではなく、横浜には黄金町や瑞穂埠頭あたりに、そうした横浜の歴史の裏の顔が残っているのを知っている。それらが無くならないうちに・・・・。

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2008年8月22日 (金)

肖像権とやらの問題

ほぼ毎週末のようにどこかに行っては写真を撮り、フォト蔵にアップしていたりする訳だが、私の場合風景の中に点景としての人を入れるのが好きである。

ところが最近肖像権がうるさくなったリスクも感じるので、人が写っている写真については一応自分なりに気をつけて判断してはいるのだが、これは果たしてアップしても大丈夫かどうか、微妙に迷う写真も少なくない。

「スナップ写真のルールとマナー」と言う本があったので買ってみた。
ケーススタディ形式で、どんな場合はNGかOKかが分かりやすく例示されている。例えば、

歩行者天国で大道芸をしている人を撮りました。
まわりにはたくさんの人が写っています。
アップではないのですが、みんなの顔ははっきり分かります。
肖像権があると言われたらと思うと、発表するのに躊躇してしまいます。
また、大道芸をしている人にも断っていないので、心配なのですが。

いかがであろうか?

実はこれと全く同じ状況の写真を撮ってフォト蔵にアップしたことがあるのだが、問題ないと私は判断していた。この本でもOKとの見解だ。

まず、公共の空間で、特定の人物ではなく、あくまでも芸を見る群衆として捉えているので、問題ない。

大道芸人は、誰もが自由に出入り出来る場所で無料で人に見せるためにやっているのだから、これも撮って問題ない。

この本を読んで、概ね私の感覚が間違っていなかったと思い、安心した。

私の場合、写真を撮る際に気をつけている基準は、群衆や通行人としておおぜいが風景の一部になっている場合は顔が分かっても○、それ以外は人物の正面は基本的に×、だが明らかに風景の中の一要素として小さく点景として写す場合は○、後ろ姿なら概ね○、往来で無料で見せるためにやっているパレード、パフォーマンス等の人は○、と考えている。

他にも、社寺等以外の私有地内は撮らない、クルマはナンバーが分からないようにする、水着の人がいる季節の海岸には近づかない、子供やペットは基本的にやめとく、カメラを目立つように持って堂々と撮る。等を気をつけている。

逆に、堂々と撮ることにためらうような場合は、やめとけと言うことである。

スナップ写真のルールとマナー (朝日新書 063)
スナップ写真のルールとマナー (朝日新書 063) 日本写真家協会

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stars撮影する立場で具体的に書かれた「スナップ写真撮影の心得」
stars感慨深い内容
starsで、どうすれば良いのか?
starsなんとも寂しい世の中ですが
stars自由で楽しい写真ライフにほんとうに必要なことは何か?

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