« 秋山郷・切明温泉 (その1) | トップページ | Seawind »

2007年10月14日 (日)

秋山郷・切明温泉 (その2)

実はこの旅は非常にプライベートな理由のある旅だ。

この場所は私が生まれる前、父が結婚したばかりの頃に母と一緒に一時住んでいたと言うところなのだ。仕事の関係とは言え、こんな秘境での当時の暮らしはさぞかし厳しいものであったのは想像に難くない。

晩年病気がちで動けなかった母が今年亡くなってから、父は50年ぶりにその地を訪れてみようと思い立った。

何一つ変わることの無いように思える自然の風景も、50年の歳月は変えてしまっていて、父は昔いた場所を簡単に探すことができなかった。

しかし帰りのタクシーが谷間からつづら折りを登る途中、ふいに父は車を止めた。「この風景には見覚えがある。」

父が持ってきた何枚かの古い写真。そこに写っている山の稜線と道のカーブ。写真に写っている小屋は既になく、あたりは深い木々に覆われてはいたが、「間違いない。この場所だ。」

KIRIAKE2

最近私は昔を振り返ることが良いのか、悪いのかと時々考える。

でも多分、ある程度歩いてきた後であれば、それは決して悪いことではない。

喩えて言うならば、山を登ってきたようなものである。山頂近くでふと後を振り返って下界の風景を見るのは、決して逆戻りをすることではないし、自分がここまで登ってきたことを再確認する行為なのだ。

そして何より、厳しい山登りであればこそ、そこには素晴らしい風景が広がっている。それが人生に与えられたご褒美なのではないだろうか。

|

« 秋山郷・切明温泉 (その1) | トップページ | Seawind »

コメント

ヨーロッパなんかだと、昔の風景をいかに守るか・・っていう感じで、昔の絵画と全く同じ風景が今もたくさん残っているけど、日本ってそういうのないですよね。すごく残念な気がします。
私もあんまり昔を懐かしむ懐古主義みたいなのは好きじゃないけど、ふっと自分の原点というか、エネルギーが満ち溢れていた時に気持ちを戻せるという意味では、そうやって立ち止まり、そのころの思いをもう一度思い出すのはすごーく素敵なことだと思います♪

投稿: hirorin | 2007年10月14日 (日) 22時45分

フォト蔵のアルバム ご訪問感謝です♪
>懐古主義
・・・・懐古趣味?回顧趣味?
>ふっと自分の原点というか、エネルギーが
いいですねえ!taikaも生まれ育った場所・・小学校低学年で東京に移転したので・・・を懐かしくおとづれたこともありますが記憶とのギャップが大きくてね(^_^;)

秋山郷は昔春先に行きました。野反湖側から入ろうとしましたが雪の世界で峠を越えられませんでした。
いいとこですね。

投稿: taika | 2007年10月15日 (月) 13時23分

>ヒロリン

そうだね。
日本はどうも変わることの方が価値あると言う考えが根底にある気がする。
まあその気質があるからこそ明治維新も終戦後の復興もできたんだろうとは思うけど。
でもだからこそ、失ってきたものも大きいんだよね。
そこが日本人全体としてのカルマなんだろう。

>taikaさん

初めまして。拙宅までわざわざお運び下さいまして光栄です。

秋山郷はほんとに秘境でした。雪の季節は絶対孤立しちゃうだろうなと思いましたね。紅葉の時にまた行ってみたいです。

投稿: TODO | 2007年10月15日 (月) 21時30分

「山深い処」と言う言葉がぴったりな場所なんでしょうね。
思わず車を止めて「ここだ」という節は、小説みたいですねぇ。

投稿: 葛飾のオヤジ | 2007年10月15日 (月) 22時27分

>オヤジさん

ちょっと小説みたいに書いてみました。
でもホントに山は深かったですね。
これ、雪のシーズンだったら大変な場所だと思います。

投稿: TODO | 2007年10月15日 (月) 23時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/113165/16760633

この記事へのトラックバック一覧です: 秋山郷・切明温泉 (その2):

« 秋山郷・切明温泉 (その1) | トップページ | Seawind »