「A.I.」
スピルバーグの作品の中でも特に酷評が多い作品だが、私は好きだ。
今日久しぶりに見たくなって見たのだが、やはり良かった。
死んだ息子とそっくりのロボットを作る科学者と言うのは、鉄腕アトムの天馬博士と同じ設定なのだが、その子が植物状態となった息子を持つ家庭に引き取られて行く。息子の代わりとして。
この映画の酷評の多くの意見が、親の身勝手さに共感できないと言うもの。
確かに、自分の寂しさを紛らすために自分を愛することを命じたロボットなのに、都合が悪くなるとそれを捨てようとする。
私は、スピルバーグはこの映画を決してヒューマンな感動ドラマと考えていないと思う。この映画はお伽話である。しかも、暗くて、怖い、お伽話なのだ。お伽話と言うのは、えてして本来そういうものである。
息子を失った科学者も、病気の息子を持つ母も、ロボット少年も、皆が自分が満たされないがために愛を求める。
ただ、ロボット少年だけは、人間がそうするようにプログラミングしたからひたすらに求めているに過ぎず、人間の身勝手さの犠牲者であると言うことの悲しさが、愛を求めると言うことの深い「業」を表している気がする。
捨てられたロボットの少年は、長い旅の果てにやっと自分の願いを叶えることが出来るのだが、映画は決してハッピーエンドではない。もの悲しい、やるせない終わり方にしてあるのは、そのせいなのだ。
それから酷評の2番目に多い意見は、ラストで宇宙人出すなと言うもの。
あれは宇宙人ではなく、未来のロボットですから。
A.I. ハーレイ・ジョエル・オスメント ジュード・ロウ フランシス・オコナー ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-07-14 by G-Tools |
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コメント
これ、見たいと思って見なかったんですよね。
あまりに酷評が多かったから・・なんとなく・・素直に見られないような気がして。
でも、スピルバーグの作品は好きだし(どの作品もいろいろ言われますけど)、そのうち見ようと思いつつ・・・
映画の評論って参考にはなるけど、あれも一個人の論評だから、そんなに振り回されなくてもいいと思うけど、詳しい人が言うことだから・・って、あの人たちは良い仕事してるんだろうけど、こうやって私みたいにひとつの映画を見るきっかけを減らしてるのかも・・なーんちゃって。
ジャッキーチェンの映画なら、私がいくらでも論評しちゃう♪
投稿: hirorin | 2007年9月29日 (土) 22時28分
>ヒロリン
この言い方をするとそれで終わってしまうのでは好きじゃないんだけど、人それぞれ感じ方は違うから、後でやっぱりつまらなかったと言われてもあれなんでお奨めは敢えてしませんが、私のように感じるヤツもいると言うことで。
ジャッキーチェンの映画は、論評ではなくノロケでは?(笑)
投稿: TODO | 2007年9月30日 (日) 09時35分