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2006年11月 9日 (木)

人類の遠い未来

西暦3,500年。

人類が肉体を捨て去ってから数百年が経つ。

果てしない宇宙を突き進む小さな飛翔体の中には、シリコン結晶体に封じ込められた超高集積分子メモリがあり、そこには、

「全人類」 が入っている。

彼らの実体は超マルチタスクで実行されるプログラムとメモリ上のデータに過ぎないが、肉体が無いことと、個人間の情報伝達手段がデジタルデータであることを除けば、そこには生きた「意識」があり、人間そのものなのだ。

ただ、人類がかつて肉体をまとっていた時代の飢えも痛みも疲れも死の恐怖もそこにはない。

彼らのすべきこと、それは「創作」とその蓄積であり、それは情報のやり取りによって産み出される。
即ち、「コミュニケーション」こそが生命の活動の全てなのである。

思い起こせば、人類が肉体と言うお荷物を抱えながらも、自分たちを育んだ地球と言う卵の殻を破って宇宙に出ようとしていた時期に、人類が憑かれたかのように育てていたコンピュータやネットワークの技術。そしてインターネットが地球上の個人をことごとく直結したこと。それらは皆、今こうして次の段階に進化する人類のための準備段階だったのだ。

魚が自らの肉体を変化させて地上に進出したように、人類が宇宙に進出するためには、肉体を捨て去って自分たちをデジタルデータにして小さな素子の中に転写して運ぶことが究極の方法であり、全ての技術はその準備のために育まれてきたのである。

今日も、永遠に続く、居心地の良い理想郷の中で、いつまでも終わることのない「コミュニケーション」が音もなく続けられているのだ。

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「2ちゃんねる」について、息子が主催するサイト「Otoner」にあった表現が秀逸であったので、手前味噌ながら引用させて頂く。

常時そこに場があり、自分は名無しの一人として、新たな個体として参加するというより、液体のように融け込んでいく。誰から認められることも嫌われることもない空間は、決して自分を傷つけないので居心地がよい。

これを読んだら、上のようなSFを思いついたのだ。

2ちゃんねるに浸る若者たちは、新しい人類のさきがけなのかも知れない。

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コメント

うーん、そのSF、怖いけど読んでみたいです。
星新一みたいだと思いました。

投稿: KIKI | 2006年11月 9日 (木) 22時11分

>KIKIさん

いや、読んでみたくてもこれだけで終わりです。(笑)
こういうこと書くのは結構好きなんだけど、オチ考えるのが苦手でして。

投稿: TODO | 2006年11月 9日 (木) 22時18分

TODOさん、Aloha・・!。

人類が永遠に命を伝承して行く為に、DNAが種子の保存
を目的に子孫を増やす命令をしている・・・。

とすれば、肉体の維持が必要無くなったDNAはどんなに
心安らか・・・な気持ちなんだろう・・・って想像しました。


ではでは、Mahalo。

投稿: jazz | 2006年11月12日 (日) 11時47分

>jazzさん

なるほど。そういう視点までは考えませんでした。
もし人間が肉体を必要とせずに永遠の生命を得ることができたら、それこそがDNAにとっても最終的な目的を果たしたと言えるかも知れないですね。
だから、心安らかに使命を全うしたと思って死んでいくのではないでしょうか。
いや、もしかしたら、DNAの実体も生命の「情報」そのものであるとしたら、メモリに転写されたDNAは、さらに次の段階の進化を目指すのかも知れません。
その先になると、もはや想像が及びませんが。

投稿: TODO | 2006年11月12日 (日) 19時26分

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