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2005年7月 4日 (月)

「2001年宇宙の旅」の特撮の謎

何故かあの映画の宇宙のシーンが見たくなってDVDをかけて見た。
冒頭の「人類の夜明け」のシーンはとばしてあの「美しく青きドナウ」の宇宙シーンから見る。

一部まだ建造中の鉄骨が向き出しになったリアルなドーナツ型宇宙ステーションの周りを、パンナムの宇宙旅客機オリオン号やその他の人工衛星が飛び交う有名なシーンであるが、ここで私はあることに気づいた。

宇宙船は地球や月の明るい部分の前を決して通らないのだ。

地球から飛び立ったオリオン号が宇宙ステーションに向かって飛ぶシーン。
画面の左半分には青く明るい地球があり、中央あたりから画面上に向かって飛ぶオリオン号をカメラは機体の上昇に合わせてパンアップして行く。
そのシーンを憶えていると言う人は思い返して欲しい。まるで青い地球を背景にオリオン号が飛んでいるように思ってはいないだろうか。

しかし、実際にはオリオン号はただの一瞬も地球と重なってはいない。
実に巧みに、オリオン号の上昇に合わせてカメラが動くことで、地球と重なるのを避けているとしか思えない写し方になっているのだ。

円筒形の人工衛星が画面を右から左に通過する時もそうだ。
下に地球があり、上に月がある。しかし、その地球にも月にも、絶対に人工衛星は重ならない。

ドーナツ型の巨大宇宙ステーションが決して地球に重ならないことは言うまでもない。

また、月着陸船が月に近づくシーンでもそうだ。
月の明るい部分と月着陸船は決して重なることはなく、巧妙に月の暗い部分だけを飛んでいるのだ。
もう少しで明るい部分に入ろうとするその瞬間に、カットは切り替わるのである。

ただ、これが月面に着陸する直前だけは違う。
月面に接近する月着陸船を、しっかり月面を背景に撮影しているのだ。
何故か?

これができるなら、何故上空からの明るい月面や地球は、宇宙船がそれに被さることを避けなければいけなかったのか?

このところに、この今見ても何ら最新のCGにひけを撮らないこの時の特撮の撮り方の秘密の糸口がきっとあるように思えて、何か発見した喜びのようなものを感じてしまったのだ。

2001について書いているサイトはいろいろあるが、このような指摘について書いてあるところは今のところ無かった気がする。是非、詳しい方の分析を聞かせて頂きたいと思っている。

B00005MIO12001年宇宙の旅
キア・デュリア ゲーリー・ロックウッド ウィリアム・シルベスター
ワーナー・ホーム・ビデオ 2001-08-23

by G-Tools

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コメント

ども。推測だけど、

・明るい背景を避けているシーン
 複数の要素を別々に撮影してマット合成しているため、明るい背景だとマットラインが見えやすいので避けた。

・月面着陸のシーン
 おそらくフロントプロジェクションで撮影。背景のコントラストが低いので、前景となる着陸船に投影される月面のテクスチャがごまかし易いため。

「失われた~」で読んだネタだったかも知れないけど、2001年のSFXが特別なのはパンフォーカスを得るためにとんでもなく長い露光時間を費やしていることだとか。スターウォーズでさえそのような贅沢な手法は取れなかったそうで。
今週末に生ジョージルーカス見れる予定。うしし。

投稿: meza | 2005年7月 5日 (火) 15時47分

ども。ようこそ。

なるほどねえ。あの映画は有名なガラスに張り付いたペンみたいにタネを明かせばなぁんだと言うような、たくさんの手品のようなアイデアで撮られているような感じがします。
それもまた、技術ですわな。

しかし、生ルーカスですと?
そのうちチューバッカの中に入っていたのは実は俺だ! とか言い出さないでしょうな。

投稿: TODO | 2005年7月 5日 (火) 21時40分

問題のシーンを確認しようと思ったらDVD持ってなかった。LDはプレーヤーが稼動体制にないし。
こんなサイト見つけたけど、
http://homepage1.nifty.com/kotachi/production.htm
これの33番のシーンかな?


チューバッカには中の人など(ry
ベーダー卿とは懇意にさせていただいております。
http://meza.way-nifty.com/noisy/images/IMG_3052_2.jpg

投稿: meza | 2005年7月 6日 (水) 09時40分

今、まだ会社なのだが、ふと気づいた。

決して「重ならない」のではなくて、

決して「重なることができなかった」としたら・・・。

つまり、宇宙船と地球(と言うことになっている円盤)は前後関係になく、カメラから同じ距離にあったのではないか・・・。

重なろうとしたらぶつかってしまうから、
重なることができなかったのではないか!

カメラのことは詳しくないのですが、両方にフォーカス合わせるためにじゃないかな。

この推理はどうですか?

投稿: TODO | 2005年7月 6日 (水) 18時23分

たぶん、それは違うと思う。
1.物がぶつかってしまうなら、2度に分けて撮影し、後から合成すればよい。
2.フォーカスを遠近両方にあわせるには、絞りを超絞って長時間露光すればよい。

で、明るい背景にモデルを重ならせないのは前述のようにマットライン(背景と前景の境界線に黒い線がはみ出る現象。合成時の精度の限界による。背景が黒ければバレない)がばれるのを嫌ったからで正解だと思うよ。

投稿: meza | 2005年7月 7日 (木) 01時02分

なるほど・・・。確かにそうですね。

一昨日紹介してくれたサイトを読むと、
オリオン号や衛星はスチール写真と言うこともシーンによってはあったようですね。撮影現場見たら、結構間抜けに見えるだろうなあw

それがあんなすごい映像になるんだから、これが映画のおもしろさですね。

投稿: TODO | 2005年7月 7日 (木) 18時11分

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